そこに人が集まり、そこで人が楽しみ、そこが好きになる

(株)ジーツーゲイトは「共感を呼ぶイベント」を提案します

「忍者の世界展」について

■子供のころからの夢を実現■

  『世界のカメ展』をやっていた頃から、私は「次は『忍者展』!」と、心に決めていました。子どもの頃、夢中になった横山光輝の『伊賀の影丸』や、テレビの『忍者部隊・月光』、『隠密剣士』が忘れられなかったからです。

f:id:e-tambourine:20200626172242j:plain

ニセ忍者(セルフポートレート

 「展覧会を作る」ということは、映画を1本撮るようなもの

 ゼロから始めて、段々と形にしていき、出来上がったものを、お客さんを集めて見ていただく・・・。興行的な部分もあり、失敗すれば打撃を受けます。


 でも、夢を実現するという機会は、めったにあるものではありません。その時、私は「機会」を与えられました。
 「やってみろ!」と、当時所属していた会社の社長と、会場側であるいくつかの百貨店担当者から、エールを送られました。発奮しないわけがありません。


 想定される第1回目の『忍者展』開催まで、あと8ヶ月といったところで、私は伊賀と甲賀に、取材、及び交渉のための旅に出ることにしました。インターネットがない時代でしたので、下調べのための資料といっても、ほんの限られたものしかありませんでした。

 私が一番熟読したのは、学研から出ていた『忍術・手品のふしぎ』という子供向けの本です。一番の観客として想定される、子どもの視点を知るためには、もってこいの参考書でした。

■本物を展示するには■

  『忍者展』ではどうしても、展覧会の原則である“ホンモノ”を展示する、ということが出来ません。“ホンモノ”のない展覧会に、どうやってお客様を呼び込むか、それが大きな課題でした。


 ≪『忍者展』だからって、本物を展示できないと決まった訳じゃない!≫
 と知恵を付けてくれた人がいました。
 「何を展示するんです?」
 ≪古文書を展示すればいいんじゃよ≫ (ダレだ、お前は?)
 「古文書?」
 ≪『万川集海』(ばんせんしゅうかい)という古書がある。謂わば忍者が口にくわえて、“ドロンドロン”とやる、アレだな≫


 「巻物ですか!? そんなもの、残っているんですか?」
 ≪残っているとも。国会図書館に1巻あるほか、「大原本」とか「ナントカ本」とか、確か3巻は現存している筈じゃよ。それを持って来ればよい!≫


 カメ仙人か、○○白雲斎と話している気になってしまいましたが、実際は歴史を趣味としている物知りのおじさんでした。
 その気になって、突っ込んでよくよく聞いてみると、『万川集海』は、残念ながら「巻物」ではありませんでした。全22冊の、和綴じ本とのこと。

 ほかにも『正忍記』や、服部半蔵が著したと伝えられる(ウソっぽい!)『忍秘伝』という本が現存していると、その後資料を読んで知りました。


 「どれかひとつでも、持ってくることが出来れば、“ホンモノ”の展覧会になる!」と、私は考えました。そして「なにがなんでも!」と、ちょっと悲壮な覚悟で、伊賀・甲賀への旅に出発したのでした。
(2004.5.27)

 

event-go.hatenablog.com

 === 「イベント雑記」という記事を、2003年から2005年にかけて書いていたメルマガに掲載していました。内容的に若干古さを感じる点はご容赦下さい。(掲載した日にちを文末に書きました)・・・こちらのブログに転記させていただきます。===