■忍者展の展示品を集めなくちゃ■
展覧会(展示会も同じですが)を現実化するためには、まず全体の構成を考えなくてはなりません。「何を、どういう順番で、見せるか」ということです。
それとは別に、実際に「展示」するものを「押える」交渉も必要です。頭の中で構成は出来ていても、「展示品」がなければ、「展覧会」は成り立たないからです。
『ミロのビーナス』を日本で公開しようと思えば、これは国家的大事業です。文部科学省や、外務省、文化庁等が実際に動き、電通など大手広告代理店が手足となって、やっと「実現」するかどうか、といったものです。
『忍者展』は、まあ、それほどじゃありません。
「ホンモノ(?)」の“十字手裏剣”や、“水ぐも”や“巻き菱”を伊賀や甲賀から借りるにしても、「電通」を動かす必要など、ハナからありません。借り入れ条件と、たぶん「誠意」だけです。
伊賀と甲賀には一度行っていました。その時は、云わば「遊び」。2回目の今回はちょっと必死でした。決めるべきことは、キチンと決めてこなければ帰れません。経費的に、そう何度も行っている訳にはいきませんでした。
■いざ、伊賀へ■
インターネットやメールが使えれば、下調べやアポイントも取れたでしょうが、20年程の前のことなので、そんなものありません。誰からの紹介もなく、「飛び込みで交渉」に出向いたのですから、今考えると無謀でした。
まず、伊賀へ。
「伊賀も甲賀も山の中」と思っている方もいるかもしれませんが、下車駅「伊賀上野」は城下町で、藤堂高虎の支城のあった所。駅を降りると「松尾芭蕉」の銅像が迎えてくれます。“松尾芭蕉は忍者だった!”というのは、また別の話。
伊賀は「小京都」のようなところで、高台から街を眺めると、碁盤のように整然と町屋が並んでいます。「日本三大あだ討ち※」のひとつである、『鍵屋の辻』はお城のすぐ側にあります。
※「日本三大あだ討ち」
1.忠臣蔵 ~ご存知!
2.曾我兄弟 ~あまり、ご存知じゃない?
3.『鍵屋の辻』~荒木又右衛門が助太刀をし、三十六人斬りをした所
伊賀上野城のある「上野公園」には、「伊賀流忍者博物館」があります。
「忍者屋敷」を模した造りになっていて、いろいろなアトラクションも常時行われています。その中で、「くノ一」(赤い忍者衣装を着た女性忍者)が「忍者屋敷」のガイド役をやっていました。市の職員さんだとか。これはそのまま、私の『忍者展』でイタダキました。「くノ一」は、子飼いの女性アルバイトでしたが。
「39.忍者の世界展/伊賀編・下」へと続きます。
(2004.6.3)
=== 「イベント雑記」という記事を、2003年から2005年にかけて書いていたメルマガに掲載していました。内容的に若干古さを感じる点はご容赦下さい。(掲載した日にちを文末に書きました)・・・こちらのブログに転記させていただきます。===