イベントの仕事はひとりではできません。
いろいろな人の協力により、ひとつの仕事を作り上げていくものです。
以前「ディレクター」と「プロデューサー」の違いについて書きました。
私の場合、イベントのプロデュースが主な仕事です。
たまにディレクターをしたり、企画書や台本を書くこともありますが、それは私で手に負える仕事の場合です。
1000万を超えるような仕事は、プロデューサーに徹します。
そのほうが見積もり項目が増え、利益も出しやすいし、なんといっても、分業して進めていくのが失敗をしないコツだからです。
こんなこと云ってはナンですが、同業者に仕事を分け与えるのも大切なことだと考えています。
「餅は餅屋」というように、各分野にその道のプロがいて、当然、よりプロフェッショナルな人に発注したほうが仕事は旨くいきます。
さて───、
私がスポンサーからイベントを受注して、スポンサーとの打ち合わせの中でおおよそのプランが決まったら、外部の会社や個人に発注するため「スタッフ決め」をおこないます。
古いテレビ番組で恐縮すが、『スパイ大作戦』の冒頭で、IMFのリーダー、ジム・フェルプスが工作員リストのようなファイルを、鍵の掛かった机の引き出しから取り出し、“ためつすがめつ” 今回のミッションで使う工作員を選ぶシーンがありましたね。
あのシーンは大好きでした。「今回はどんなメンバーなんだろう」と、ドキドキしました。その割に、毎回ほとんど同じメンバーでしたが・・・
ちょうどあんな風に。
ただしファイルは使わず頭の中でページを繰りながら、スタッフ選びをします。
どこ(会社)に決めるかは、受けた仕事の内容や予算に依ります。
誰(個人)に決めるかは、やはり「好き嫌い」で。
仕切り値を決め、利益の幅をどのくらい取るか決めるのは、プロデューサーの仕事です。と同時に、仕事の質のレベルを決めることでもあります。
仕事の種類や規模によって、スタッフの人数や職種は異なります。
例えば「ファッションショー」だったら、
1.演出家
2.舞台監督
3.音響
4.照明
5.衣装
6.メイク ・・・ 最低これだけのスタッフ(専門職)が必要です。
これで“やっつけてしまう”仕事もあれば、
規模や内容によって、もう少しお金をつぎ込むこともあります。
その場合、
7.コーディネーター~服選び。服を店から安く借りてこられる人。
8.フィッター ~着替えを手伝う人
9.特効(特殊効果) ~スモークやCo2や、銀打ち、など
10.司会者 ・・・などを入れます。
スタッフ選びのポイントは、日頃から信頼できるスタッフをいかに身の回りに集めておくか、に掛かっています。
そのためには、たくさんの仕事を取ってきては発注し、その度ごとに取捨選択するのが結局は近道です。こちらの仕事のやり方を理解してくれ、予算のない仕事でも気持ちよくやってくれる人。
通常これら職人の世界には、定価というものはありません。
通常値段というものはあります。支払えるときはその値段で。
予算が厳しい時は、お願いして値引きしてもらいます。そして予算がある仕事で、カバーするようにしています。
仕込値段を決めるのもプロデューサーの仕事です。
◇ ◇ ◇
それぞれのスタッフには、その職種からくる癖のようなものがあります。
まるで難癖をつけるのを生き甲斐としているような、ひとクセもふたクセもあるクセモノぞろいです。
思いつくのは「音響屋」さん! 以前付き合いのあった音響さんは屈折度合いがピカいちでした。
いつも「小屋(劇場)」で仕事をしていて、暗いところばかりにいるから、かと思ってしまいます。支給するロケ弁の質に対しても「一家言」を持っています。
『橘クーン、それって違うんじゃなあい?』と、なかなかネチッコイ。
・・・皆がみんな、じゃありませんけどね。
同じ「小屋」にいるのに、けして根暗じゃないのが「照明屋」さん。最近はこの業界に若い女性がドット入ってきて、華やいでいるせいかもしれません。
それにしても照明屋さんの若い女性は、たくましいと思う。
重い照明器具を片手にふたつ持ち、高い脚立をヒョイヒョイと登り、不安定な姿勢で身を乗り出して作業している様子には、いつも惚れ惚れします。
まるで『火消し屋小町』(NHKドラマ)みたい。化粧っけ、まったくないけどね。
クセのあるスタッフのいいところを引き出し、使うのもプロデューサーの仕事です。
(2005.4.28)
=== 「イベント雑記」という記事を、2003年から2005年にかけて書いていたメルマガに掲載していました。内容的に若干古さを感じる点はご容赦下さい。(掲載した日にちを文末に書きました)・・・こちらのブログに転記させていただきます。===