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(株)ジーツーゲイトは「共感を呼ぶイベント」を提案します

したたかに、ナレコン

■ビジネスショー前日■

   その日はビジネスショーの初日。私の会社はS.O.社のブースに、ナレーター5名とコンパニオン15名を入れていました。

  昨夜、リハーサルが終了したのは午後10時過ぎ。ナレーターのうち一人の原稿は、「スポンサーの意向」により大幅に変更されました。こうしたことはよくある事。
 とは云え、彼女の立場で考えれば、一晩で暗記するには酷な変更量でした。

  ナレーターは、コーナーにいるお客様に対し、時にはひとりで約30分間、暗記した説明コメントを、とうとうと喋り続けなければなりません。聞いたこともないカタカナばっかりの専門用語、個人的にとくに興味がある分野というわけではないコメントの中身。原稿用紙で約30枚の一人芝居・・・。

 「大丈夫で~す。がんばりま~す!」と、けなげにも明るくスポンサーに応えていたのには感心しました。でも、そんなことが可能だとは、とても思えません。10時間後までに、苦労して一旦覚えた原稿をイレイサーで消して、新たなたなコメントをキレイに頭に入れるなんて。

■ビジネスショー初日■

   結果どうだったかと云うと、寝不足で目も腫らしておらず、化粧バッチリの笑顔で定刻に現れ、彼女は完璧に原稿を覚えていました。
 多少、自分の言い易い「言い回し」には変えていましたが、まったく問題ありませんでした。それは現場に慣れたスポンサーの担当者にとっても驚異的なことだったようで、それ以降、彼女は、超1流企業のS.O.社から毎回『ご指名』を受けるナレーターとなりました。

  彼女は昨夜の時点で、チャンス到来を感じたのかもしれません。完璧に覚えて、皆に「あっ!」と云わせるシーンを『イメージ化』できたのだと思います。あとは「彼女独自の秘密の暗記術」を駆使し、したたかに成功を勝ち取りました。
 
  彼女は見事「成り上がった」のでした。プロの技だな、と私は心底感じ入りました。

 ◇    ◇    ◇

■トホホなナレーターもいる■

   かたや、本当に物覚えの悪いトホホなナレターがいるもので・・・。オーディションでつい顔の良さに惹かれ、合格としてしまい、本番で使いモノにならないタイプです。

  本番前日のリハーサルで「つっかえ、つっかえ」して、「明日まで大丈夫?」と云ったら、「大丈夫で~す。がんばりま~す!」なんて平気な顔して云っといて、やっぱり初日コメントが入っておらず、ついに1日目の夜、ディレクターとふたり、何の因果か、カラオケBOXでコメント練習をしたムスメ!!

 「まぎらわしいからプロやってるんじゃない!」と云いたい輩(ヤカラ)です。

(2003.10.9)

=== 「イベント雑記」という記事を、2003年から2005年にかけて書いていたメルマガに掲載していました。内容的に若干古さを感じる点はご容赦下さい。(掲載した日にちを文末に書きました)・・・こちらのブログに転記させていただきます。===