子どもを対象としたイベントは数々あります。
デパートの屋上イベントである「ヒーローショー」も、東京ビックサイトで開催される「ゲームショー」も、夏休みの博物館展示の「恐竜博」も、すべて子どもの来場を期待するものです。
イベント初日、朝早くから子どもが並びます。ついでに付き添いの父兄も列をなしています。
前日、警備担当者と打合せをして対応は万全でも、「本当にお客様は来てくれるのか」と不安いっぱいで、担当者は早めに出勤してきます。そして、会場を取り巻く長蛇の列を見た瞬間、「してやったり!」と、イベントの成功を確信するのです。
そこでついつい、子どもに優しい目を向けます。
仲間同士で来ている子どもを見つけると「どこから来たの?」とか、「朝、何時に起きたの?」とか声を掛けてしまいます。
子どもも、関係者風の大人から声を掛けられ、子どもらしい『算段』で受け答えをします。
「おじさん、何時から中に入れるの?」とか、
「ここに並んでいて、○○××(先着100名のみのプレミアム景品)は、もらえるかなあ」などと、子どもらしい表情で聞いてきます。
甘い顔をして「さて、どうかな」とでも答えたものなら、その後の展開はこうなります。
▼子ども 「せっかく早起きして来たんだから、ちょうだい!」
▽担当者 「それはできないな。君たちより、もっと早くから並んでいる人もいるのだから」
▼子ども 「いいじゃん。ちょうだいよ!」
▽担当者 「悪いなあ、それはできいんだ」
▼子ども 「いいじゃん、いいじゃん! じゃ、横入りさせて」
▽担当者 「ダメだよ、そんなことはできない!」
▼子どもたち 「おじさんのケチ!」「ケチ、ケチ、ケチ! (大合唱)」「いいじゃん、いいじゃん! (大合唱)」
▽担当者 「・・・(逃げ出す)」~大合唱、止まず
子どもを少し、甘く見すぎましたね。
彼が知りたかったこと[最初のお客様がみえたのは何時頃か?]は、最初からそこにいる警備担当者に尋ねればよかったのです。
◇ ◇ ◇
では、どうすればよかったのか。
正解はイベントの現場において、「気安く、子どもに声を掛けない」ことです。
また、気安く子どもに声を掛けられないよう、少し位、しかめっつらを作って足早に通り過ぎましょう。
腑に落ちない、と思っている方もいるかもしれませんね。
ただ経験から云うと、「気安く、子どもに声を掛けていい」のは、ステージ上のプロの司会者だけです。
「特定の子ではなく、全員といい関係」を作れるのは、ステージの上からだけなのです。だからプロの出演者もステージを降りたら、さっさと控え室に駆け込みます。
★子どもは「調子に乗る」ものです。調子に乗って「悪乗り」します。
イベント会場において、子どもを調子に乗せると事故につながることが多々あります。特定の子どもとの「いい関係」は、他の子どもの嫉妬を生み、イジメや喧嘩につながったりします。
本来可愛い子どもを「暴徒」に変えるのは、スタッフであるあなたの、ちょっとした「言動」や「態度」であることが多いのです。
変にいじらずに、放っておくのが無難です。