そこに人が集まり、そこで人が楽しみ、そこが好きになる

(株)ジーツーゲイトは「共感を呼ぶイベント」を提案します

懸賞はいつも当たり

懸賞はいつも当たり ⑬

⑬ 【最終話】 懸賞生活が再開して、1週間が過ぎた。 以前のペースは取り戻してはいないものの、日に1件か2件、宅配便で賞品が届いていた。 文美枝はすでに「店作り」の計画に着手したようだ。 これまでインターネット以外、ほとんど関心を示さなかったの…

懸賞はいつも当たり ⑫

⑫ 良かったと思った。良かったのは、とりあえず文美枝の機嫌が直ったこと。 同時に、なんとも得体の知れないものが、この先待ち受けているに違いないといった、予感めいたものを覚えた。 "gets2登場!" この事態を積極的に受け入れることに、俺は抵抗を感じ…

懸賞はいつも当たり ⑪

⑪ 「gets!」を捨てて、3ヶ月が過ぎた。 捨てたあともしばらく続いていた、当選賞品の配達も、ようやく止んだ。 家の中にあふれかえっていた品物は、親兄弟にあげるなり、友人に譲るなり、ネットで売るなり、時には、夜中に遠く離れたゴミ集積所に、こっそ…

懸賞はいつも当たり ⑩

⑩ インターネットの世界では、一体どれくらい数の懸賞が、常時"掛かって"いるのだろう。国内だけに限定しても、大小合わせれば、相当数あるに違いない。 小はオリジナルメモ帳やマウスパッド。 化粧品など「新商品モニタープレゼント」というのもある。 大は…

懸賞はいつも当たり ⑨

⑨ 「いつから気がついていたんだい?」 「ずっと以前。初めて私宛に懸賞の賞品が届いた日よ。覚えているでしょ」 そんなこと、急に云われてもわからない。 「いつだっけ?」 「3連のネックレスが届いた日だから、1ヶ月くらい前かしら」 「ああ・・・、そん…

懸賞はいつも当たり ⑧

⑧ 妻の日常はこうだ。 朝起きるとまずPCの電源を入れ、それから家事に取り掛かる。家事のあいま、メールソフトを起動させてメールをチェックしたり、メールを打ったり、「お気に入り」のホームページを覗いたりして1日を過ごす。買物に出かける時も電源は…

懸賞はいつも当たり ⑦

⑦ それから1週間後の日曜日、俺達は再び"故買屋"巡りをすることにした。 前回の経験で、どれだけ売ればどれ程の金額になるか見当がついていたので、今回はレンタカー屋で2トントラックを用意した。 荷台には、かさばる物を積めるだけ積み込んだ。そして「…

懸賞はいつも当たり ⑥

⑥ 俺たちはさっそく愛車のワゴン車に、コンピュータ1台、テレビ2台、マッサージチェアー1台を積み込んで出発した。 車には思ったほど載らなかった。少しでも高く売ろうと、梱包された箱のまま積んだからだ。 3軒まわり、俺たちが手にした金額は、18万ち…

懸賞はいつも当たり ⑤

⑤ 「コンピュータの箱って、どうしてこんなに大きいんでしょう。もうどこにも入らないワ」 「風呂はマッサージチェアーとプラズマテレビでいっぱいだし、トイレはやっと用を足せる程度のスペースしか残ってないしなあ」 「ねえ、トイレに海苔置いといて、臭…

懸賞はいつも当たり ④

④ 「あれは間違いなくすべてわたしたちのものなの。だって賞品の送り先が、わたしたち宛だったし、未だに誰も何も云ってこないじゃない!」 根拠はそれだけ? 待てよ、"わたしたち宛"ってことは、文美枝宛もあったのか。 「あなたの自転車のあと、すぐにわた…

懸賞はいつも当たり ③

③ 「あなた、また当たったみたいよ!」 会社のデスクで昼食をとっていた時、携帯電話が鳴った。妻からだった。 「当たったって何が!」 「MTBって云うのかしら、自転車みたいよ」 MTB(マウンテンバイク) 「開けたのか」 「開けてないわよ。外箱に絵が描い…

懸賞はいつも当たり ②

② 4日後、懸賞の賞品が宅配便で届いた。 俺が展示会最終日の現場を終え、打ち上げを済ませて家に着いたのは、12時を少しまわった頃だった。 居間のダイニングテーブルの上に小振りな宅配便の箱が乗っていた。 それが「アレ」だとすぐに分かった。送付状を…

懸賞はいつも当たり ①

・・・最初の懸賞の賞品は日曜日に届いた。紀州産の高級梅干しだった。その日がすべての始まりだった。梅干に続いて月曜日にはスポーツタオルとインスタントコーヒーセットが届いた。火曜日は映画の試写会招待券と九州の醤油、水曜日はキャラクターのぬいぐ…