そこに人が集まり、そこで人が楽しみ、そこが好きになる

(株)ジーツーゲイトは「共感を呼ぶイベント」を提案します

5.イベントの現場でお客を叱るポイント

■押すんじゃない!ケガしたらどうするんだ!■

 

 非常に混乱したアイドルイベントの現場で、警備と観客の関係が沸点に達し、このままでは危険だと感じた時、私はちょっとこわい顔をして、観客に向かって大きな声でこう叫びます。

 ただ、心底怒っている訳じゃありません。どこもピクピクしていませんし、すぐにでも笑顔に戻れます。
 怒鳴るとき、自分の中の笑顔の所在(ありか)を確認して、
「うん、大丈夫。そーれー!」とばかりにお腹に力をためて大きな声を発します。
これ、まるで正義を行使しているようで、実は内心、スカッとします。

 それまで「押さないでくださ~い」といくら云っても、聞かなかった観客である少年少女たちが、フッと力をゆるめます


 ★ここのポイントは、“ケガしたらどうするんだ!”にあります

 腹筋に力を込めて、一気に、大声で “押すんじゃない!ケガしたらどうするんだ!” と叫ぶ訳です。

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女性アイドルに駆け付ける男性オタクくんたちは、会場整理を頼むと、張り切っていろいろとやってくれる、こともある⁉ 

 

    ◇      ◇      ◇

 このやり方は、以前、とある百貨店の販売促進課の人から教わりました。
 まだデパートが元気な頃、宣伝予算をたっぷり持っていて、毎週のように屋上でイベントをやっていた頃の話です。

 アイドルタレントがキャンペーンで来ると、イベントに2000人以上もの観客が、朝から押し寄せました。階段を使って、1階から9階にあたる屋上まで誘導し、少しずつ屋上の地べたに座らせていきます。

 相手が若い “動物” だと、なかなかこちらの意図するようには、動いてくれません。至る所で小さなトラブルが発生しました。

 イベントスタッフが手分けして整理に当るのですが、なにせ≪1対200≫状態で、ひとつ間違うと怪我人が発生してしまいます。そこで、ここぞという時に、繰り出す言葉が、

 ☆“押すんじゃない!ケガしたらどうするんだ!”という訳です。☆

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 その後、このセリフを重宝して使ってきたのですが、数年前、まるで神技のような観客整理術を目の当たりにしました。

 その人は、一言も余計な事はしゃべらず、常にモナリザのようなアルカイックスマイルを浮かべながら、≪身振り、手振り=ボディランゲージだけで観客を自由自在に誘導していたのです。

 その人が1歩踏み出して技を掛けると、相手は30歩移動するといった風でした。

 これが、なぜか、有効なんですね。

 その人の持つ独特の雰囲気が、どこかに威圧感を秘めていたのかもしれません。
 
 「この秘技」を習得すること。それは私の今後の課題です。