⑤
「コンピュータの箱って、どうしてこんなに大きいんでしょう。もうどこにも入らないワ」
「風呂はマッサージチェアーとプラズマテレビでいっぱいだし、トイレはやっと用を足せる程度のスペースしか残ってないしなあ」
「ねえ、トイレに海苔置いといて、臭い移らないかしら」
「どうだかなあ!」
「あーあ、銭湯通いももう飽きたワ。家のお風呂に入りたーい!!」
「なんか楽しそうだな」
「そんなことないですワ!」
「なあ、その美少女アニメというか、変に若やいだ言い回し、やめてくんないかな」
「フフフ・・・ハハハ、わっはっはっ!!」
「どうした?!」
「・・・そうね、変ね。やめるわ。わたし、ここのところずっと繰状態なの。あなたは?」
「たぶん、大丈夫だと思う」
「そう。よかったわ」
「そんなことより、これ、どうしよう」
「そうねえ、コンピュータは買い替えたばかりだし」
「この家に2台はいらないしなあ」
「そうだ! あなた、これ、今から売りにいきましょうよ!」
「売るって、どこへ?」
「どこでもいいわ、買い取ってくれるところなんて、いくらでもあるわ」
「何と云って売るんだ」
「何も云う必要ないわ。でも聞かれたら、そうね、そのまま答えればいいのよ。懸賞に当たったって。買ったばかりだから、いらないって!」
「なるほど。じゃ、ついでにあのでかいテレビもその手でいくか」
「同じところに、一度じゃ問題あるんじゃない?!」
「2、3軒まわってもいいから、この際できるだけ処分しよう」
「うーん、そうね・・・」
「売ったお金で美味しいものでも食べるか!」
「のった!!」
《つづく》
[つづき]懸賞はいつも当たり ⑥