東京都公認の『ヘブンアーチスト』というものが、ひところ話題になりました。
もともと路上で芸を見せ、「投げ銭」を集めるのは違法です。道路使用許可を取るのが建前でした。それが都内何10ヶ所かの指定の場所ならば、OKというのは、彼らにとって画期的なことでした。
■ヘブンアーチストとは■
東京都生活文化局の『ヘブンアーチスト』に関するホームページには、その意義について、下記のような定義づけをしています。
『審査により選定したアーティストにライセンスを発行して、公園や地下鉄の駅など、公共施設の一部を活動の場として提供することによって、「街のなかにある劇場」として都民が気軽に芸術に親しむことができ、アーティストと観客との交流をとおして芸術文化を育む場としていくものです』
【参考】 http://www.seikatubunka.metro.tokyo.jp/bunka/heavenartist/
そのホームページには、200人あまりの『ヘブンアーチスト』が登録されており、各アーチストのホームページの載った「一覧」を見ることができます。無作為にクリックして「M.I.」さんのホームページを覗いてみました。
「出演依頼・イベント企画ご相談」というページにこう書いてありました。
『スケジュールを抑えるにあたって
~ 「投げ銭のみ」又は「交通費のみ」のイベントは基本的にスケジュールを押さえることは難しいです。その他、特別な事情のある方は、ご相談下さい。また、「幼稚園」や「福祉施設」などご予算の少ない方は平日になりますが、調整可能ですので、ご相談下さい』
随分と控えめな表現という気がします。私が聞いたところでは、『ヘブンアーチスト』に登録するのはいいが、メールや電話でイベントへの出演依頼が殺到して、優しく「おことわり」しても、すごい苦情が来るとのことでした。
「言い方がきつくて、恐いぐらいですよ!」とあるパフォーマーが云っていました。私もなんとなく想像できました。
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『ヘブンアーチスト』というのは、彼らの勉強の場や、芸を磨く場であって、けして生活費を稼ぐ(仕事)場所ではないと私は考えます。日本において、まして不況下のなか、「投げ銭」だけでどれ程の収入になると思いますか?
10円玉、100円玉中心では、学生のアルバイト代にも遠く及ばないはずです。
彼らは仕事のない日、芸の研削に励んでいるはずです。そして仕事の入る日は、ひと月のうち数日です。土曜・日曜がひと月に8日あっても、全部仕事が入る訳ではないのです。だから「1日5万なら、ひと月20日働いたら、100万じゃない!」という理屈は成り立たないのです。
(2003.10.2)
=== 「イベント雑記」という記事を、2003年から2005年にかけて書いていたメルマガに掲載していました。内容的に若干古さを感じる点はご容赦下さい。(掲載した日にちを文末に書きました)・・・こちらのブログに転記させていただきます。===